
血管運動性鼻炎という「自律神経の鼻炎」
「花粉の時期でないのに鼻水が止まらない」
「寒いところに出ると鼻水が止まらなくなる」
このような症状でお困りの方は、血管運動性鼻炎の可能性があります。
血管運動性鼻炎は、感染症やアレルギーとは異なる仕組みで起こる鼻炎で、近年では自律神経や神経過敏が関与する「神経性鼻炎」という考え方も広がっています。
アレルギー検査では異常が見つからないにもかかわらず、慢性的な鼻水や鼻づまりなどの症状が続くこと、温度差や匂いなどの刺激で鼻炎症状が出現すること、目の痒みなど鼻以外の症状は比較的少ないこと、などが特徴です。
- 水のような鼻水
- 鼻づまり(左右交互につまることが多い)
- 寒暖差や匂いによる症状悪化
- 後鼻漏やのどの違和感
なぜ起こるのか〜自律神経と神経過敏
鼻の粘膜は、自律神経によって血流や鼻汁の分泌が調整されています。
副交感神経が過剰に働くと血管が拡張し、粘膜が腫れて鼻づまりや鼻汁が生じます。
最近の研究では、TRPV1受容体という刺激を感知する神経センサーが注目されています。
この受容体が過敏になっていることで、通常なら問題にならない刺激にも強く反応してしまう可能性が示唆されています。
診断の考え方
血管運動性鼻炎には決定的な検査があるわけではありません。
アレルギー検査は通常陰性で、好酸球増加などのアレルギー反応を示さないことが多い点が特徴です。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎などを除外しながら、症状の出方や誘因のパターンを丁寧に確認して診断します。
治療の基本
治療の中心は点鼻薬です。
ステロイド点鼻薬は粘膜の炎症や腫れを抑える目的で使用します。
水様性鼻汁が強い場合には抗コリン薬の点鼻が有効といわれていますが、現在日本では販売が中止となり入手できません。
アレグラやアレジオンなどの抗ヒスタミン薬は一定の効果を示すこともありますが、アレルギー性鼻炎ほどは効かないことが多いです。
唐辛子成分であるカプサイシンを利用し、TRPV1受容体を刺激して神経の過敏性を低下させる「脱感作」を目的とした治療が研究されています。欧州を中心に検討が進んでおり、難治例への新しい選択肢として注目されています。
薬物療法で改善しない場合には、後鼻神経切断術が検討されることがあります。鼻の分泌に関わる神経を調整することで症状の改善を目指す方法で、現在は内視鏡による低侵襲手術が主流です。
日常生活でできる対策
- 急激な温度差を避ける
- 強い香料や煙などの刺激を減らす
- 室内湿度を適切に保つ
- ストレスをため込まない生活を意識する
まとめ
血管運動性鼻炎は「アレルギーではない鼻炎」であり、自律神経の過敏反応が関与していると考えられています。
検査で異常が見つからない場合でも症状が続くことがあり、適切な治療によって改善が期待できます。
アレルギー性鼻炎の治療をしても改善しない通年性の鼻炎症状や、寒暖差による鼻炎、鼻づまりが続くときは、一度クリニックでご相談ください。


