
「盲腸」として知られる急性虫垂炎は、お腹の右下にある虫垂という小さな臓器に細菌感染が起こる病気です。
急な腹痛の原因として多く、生涯で発症する確率は10%程度とされています。
男性にやや多く、特に15〜20歳頃に多くみられます。
もちろん、成人になってからの急性虫垂炎も多いです。
どんな症状が出るか?
典型的な症状は「みぞおちあたりの痛みが徐々に右下腹部へ移動する」ことで、これに発熱と食欲低下が合併します。
「歩くと響く」痛みも特徴的です。
下痢になることもありますが、胃腸炎のように何度も嘔吐・下痢を繰り返すことは少ないです。
ただし症状は人によって異なり、高齢者や小児では典型的な経過をたどらないこともあります。
また、虫垂炎は重症度により大きく以下の2つに分かれます。
| 単純性虫垂炎 |
| 比較的軽症で、全体の60〜75%を占めます。 自然に改善する場合もあり、抗菌薬(抗生物質)だけで治療できることがあります。 |
| 複雑性虫垂炎 |
| 虫垂が破れたり(穿孔)、膿瘍を形成したりする重症タイプです。 全体の約3分の1を占め、手術が必要になることが多くなります。 |
診断にはCTが有効
虫垂炎の診断では、身体診察に加えて血液検査や画像検査を行います。
超音波検査(エコー)が使われることもありますが、成人ではCTが最も信頼性の高い検査です。
また、「単純性か複雑性か」を判断するうえでも有用です。
「薬で散らす」ことは可能?
以前は「虫垂炎=緊急手術」が一般的でしたが、抗菌薬のレベルと質が上がったことにより、最近では単純性虫垂炎に対しては抗菌薬治療が第一選択となることも多いです。
研究によると、単純性虫垂炎に抗菌薬治療を行った場合、
- 約70%の方が1年間手術を回避
- 手術を受けた患者さんより仕事や学校への復帰が早い
ことがわかっています。
「薬で散らす」治療を選んだ場合の再発率(再発して手術が必要になった割合)は以下のとおりです。
- 1年以内:約30%前後
- 5年以内:約39%
つまり、再発の多くは1年以内に起こるようです。
また、CTで「虫垂結石(ふん石)」と呼ばれる石のようなものが見つかった場合は注意が必要です。
虫垂結石を伴う虫垂炎では、1年以内の再発率がおよそ5割と高く、早期手術が勧められることがあります。
緊急手術が必要になるケース
以下のような重症例では緊急手術が必要です。
- 虫垂が破れている(穿孔)
- 腹膜炎を起こしている
- 敗血症性ショックを伴う
このような場合は、感染源となっている虫垂を取り除き、生命維持のため全身状態を安定させることが最優先となります。
現在の標準的な手術は腹腔鏡
現在の虫垂炎手術の多くは、傷が小さい腹腔鏡手術で行われます。
腹腔鏡下虫垂切除術のメリット
- 傷が小さい
- 術後の痛みが少ない
- 感染症のリスクが低い
- 術後腸閉塞が少ない
- 回復が早い
そのため、現在では多くの施設で腹腔鏡による手術が標準治療となっています。
まだ少ないですが日帰り手術を行っている施設もあります。
まとめ
急性虫垂炎は誰にでも起こりうる身近な病気ですが、近年は「すべて緊急手術」という時代ではなくなってきています。
ただし、緊急での手術が必要か、薬で散らすことが可能か、の判断は重要です。
ファミリークリニックあざみ野では、急性虫垂炎の診断と治療、日帰り手術を含めた根治手術が可能な施設への紹介が可能です。
「盲腸かな?」と思ったら、迷わずご相談ください。


