
「お腹が痛いけれど、消化器内科に行くべき? それとも普通の内科?」
「めまいがするけれど、耳鼻科? 脳神経外科?」
「いくつか症状があるけれど、結局どこに相談すればいいの?」
体の不調を感じたとき、「何科にかかればいいのかわからない」と迷った経験がある方は多いのではないでしょうか。
医師の診療スタイルは、大きく分けると、特定の臓器や病気を深く診る「専門医」と、年齢や臓器を限定せず、患者さんを全体として診る「総合医(総合診療医・家庭医)」という2つの方向性があります。
どちらが優れているというものではなく、それぞれ得意な役割が違います。
今回は、意外と知られていない両者の違いと、上手な医療機関の使い分けについて解説します。
1.特定の分野を深く診る「専門医」
専門医とは、「消化器」「循環器」「呼吸器」「皮膚」「眼」「耳鼻咽喉」など、特定の領域について深い知識や経験を持つ医師です。
たとえば、
- 胃や大腸の詳しい検査が必要
- 心臓の病気が疑われる
- 専門的な画像検査や治療が必要
- 手術や特殊な処置が必要
といった場合には、その領域を専門とする医師の力が非常に重要になります。
日本では長年、臓器別・診療科別の専門医療が発達してきました。
そのため、大学病院や総合病院だけでなく、街のクリニックにも「消化器内科」「循環器内科」「耳鼻咽喉科」「眼科」「皮膚科」など、専門性の高い医療機関が数多くあります。
これは世界中を見渡しても非常に特殊な状況で、いつでもフリーアクセスで気軽に専門医にかかることができる日本の医療環境は、海外からみるととても羨ましいものだそうです。
では、専門医にはどのような時にかかるべきでしょうか。
「何の病気か、どの臓器の問題かがある程度わかっている」場合には、専門医に直接相談することはとても合理的です。
一方、症状の原因がはっきりせず、「そもそも何科に行けばよいのかわからない」という場合には、「総合医」にかかることがおすすめです。
2.まずは何でも相談できる「総合医」
ファミリークリニックあざみ野でも掲げる総合医(総合診療医・家庭医)は、特定の臓器だけに限定せず、「どんな健康問題でもまずは診る」という姿勢を大切にします。
これを私たちは「ジェネラルマインド」と呼びます。
頭が痛い、お腹が痛い、咳が続く、めまいがする、体がだるい。
こうした症状の中には、最初から「これは○○科」と決められないものがたくさんあります。
さらに、
「最近なんとなく調子が悪い」
「いくつかの症状が重なっている」
「健康診断の結果をまとめて相談したい」
「親の介護についても相談したい」
といった、特定の診療科だけでは解決できない、複雑な相談もあります。
総合医は、こうした問題をまず受け止め、必要な診察や検査を行い、自分たちで対応できるものはそのまま診療し、より専門的な診療が必要であれば適切な専門医へつなぐ役割を担います。
いわば、医療の「入り口」であり「道案内人」です。
3.「病気」だけではなく、「その人全体」を診る
総合医がもう一つ大切にしているのが、病気だけを見るのではなく、「その人を診る」という考え方です。
たとえば、同じ高血圧でも治療は全員同じとは限りません。
年齢やほかの病気、飲んでいる薬はもちろん、
「一人暮らしか、家族と暮らしているか」
「食生活はどうか」
「運動する習慣はあるか」
「夜は眠れているか」
「きちんと薬を飲み続けられそうか」
「将来的に介護が必要になる可能性はないか」
などによって、より適した治療や支援は変わってきます。
また、長く通っていただくことで、
「この人は普段このくらいの血圧」
「以前も同じような症状があった」
「この薬では副作用が出たことがある」
「ご家族にもこの病気が多い」
といった情報が少しずつ積み重なっていきます。
つまり、診療を重ねるたびに、カルテの中に「あなた専用の医学辞書」ができていくようなものです。
これも、同じ医療機関に継続して相談する「かかりつけ医」を持つ大きなメリットです。
4.専門医と総合医、どちらに行けばいい?
実際には、専門医と総合医は「どちらか一方を選ぶ」ものではありません。
大切なのは、上手に使い分けることです。
たとえば、
原因がわからない・何科かわからない
→ まず総合医へ
日頃の健康管理や生活習慣病
→ 総合医へ
いくつもの病気や薬をまとめて相談したい
→ 総合医へ
明らかに特定の臓器の病気で、専門的な検査や治療が必要
→ 専門医へ
総合医が専門的な診療が必要と判断
→ 適切な専門医へ紹介
といった使い分けが一つの目安になります。
総合医がすべての病気を治療できるわけではありません。
むしろ、「自分たちで診るべきもの」と「専門医にお願いするべきもの」を適切に見極めることも、総合医の大切な能力の一つです。
まとめ:「困ったらまずはここ」をつくっておこう
高度な検査や治療が必要なときには、専門医の力が欠かせません。
一方、普段の健康管理やちょっとした体調不良、そして「何科に行けばいいかわからない」というときに頼りになるのが総合医です。
理想的なのは、「まず総合医に相談し、必要なときには専門医の力を借りる」という関係です。
そのためにも、元気なうちから「困ったときには、まずここに相談しよう」と思える総合医をかかりつけ医として持っておくことをおすすめします。
ファミリークリニックあざみ野でも、年齢や性別、臓器や病気の種類にかかわらず、まずは健康上の問題を幅広く受け止める「ジェネラルマインド」を大切にしています。
もちろん、すべての病気を当院だけで治療するわけではありません。専門的な検査や治療が必要と判断した場合には、地域の専門医や病院と連携し、適切な医療につなげていきます。
「これって何科に行けばいいんだろう?」
そんなときこそ、まずはお気軽にご相談ください。


