
心房細動とは
心房細動とは、不整脈の一種で、心臓の上半分(心房)が小刻みに震え、脈が不規則になる状態です。通常、心臓は安静時に1分間に50~100回規則正しく動きますが、心房細動が起こると1分間に500~600回も震えることがあります。
この状態が続くと、心臓の機能が低下したり、血液がうまく流れずに血栓(血のかたまり)ができたりします。特に血栓が脳に流れると**脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)**を引き起こすリスクが高まります。実際に、寝たきりになる原因の約2割は心房細動による脳梗塞とも言われています。
心房細動は自覚しにくい?
心房細動の症状には、動悸(胸がドキドキする)、息切れ、めまい、疲れやすさなどがあります。しかし、実は約4割の人は自覚症状がありません。そのため、気づかないうちに進行し、ある日突然、脳梗塞を発症してしまうこともあります。
特定健診など、年に一度行う健康診断における心電図検査では、10秒ほどしか測定しないため、発作的に起こる心房細動は見つかりにくいのが現状です。そこで、より確実に心房細動を発見する新しい取り組みが始まっています。
携帯型心電計による診断
当院では、スマートフォン程度の大きさの「携帯型心電計」を用いて、心房細動の有無を確認しています。携帯型心電計は手軽に持ち運びが可能なので、動悸などの症状があった際にその瞬間の心電図を測定することが可能です。測定した心電図は機器に保存され、後日診察の際に医師と共有することが可能です。
健康診断や病院での心電図検査で見つからない、いわゆる「隠れ心房細動」は、研究によると発生率は2〜5%程度で、65歳以上の高齢者では10%を超えることもあると言われています。また、さらな長期間モニタリングすると最大30%近くが隠れ心房細動を持っている可能性があると示されています。特に、高血圧や糖尿病などの持病がある方はリスクが高く、検査の必要性は高いと考えられます。
ウエアラブルデバイスを活用した自己チェック
最近では、アップルウォッチなどのスマートウォッチで心電図を測定し、不整脈の兆候を検知することが可能になってきています。
これらのデバイスには、
✅ 動悸を感じたときに心電図を記録できる機能
✅ 普段の生活の中で心拍数を常時モニターし、不整脈の兆候を警告する機能
✅ 心房細動と診断された方が、頻度を記録して治療の参考にする機能
などが備わっています。
このような技術を活用すれば、**「病院に行く前に異常を発見できる」**可能性が広がります。もし、不安を感じた場合は、デバイスで測定したデータを医師に見せることで、より詳しい検査につなげることができます。
心房細動の治療法
もし心房細動と診断された場合、主に以下の方法で治療を行います。
🔹 薬による治療
・抗不整脈薬:不整脈の頻度や症状を抑える
・抗凝固薬:血液を固まりにくくし、脳梗塞の予防をする
🔹 カテーテル治療(アブレーション)
細い管(カテーテル)を血管から心臓に入れ、異常な電気信号を出している部分を焼いて正常なリズムに戻す治療法です。2024年にはより安全で確実な新しいカテーテル治療が承認され、治療の選択肢が増えています。
まとめ:早期発見が何より大切
心房細動は自覚症状がないことが多いため、気づかないうちに脳梗塞のリスクを抱えている可能性があります。しかし、携帯型心電計・ウエアラブルデバイスの活用により、早期発見が可能になってきました。
✅ 高血圧や糖尿病がある方
✅ 75歳以上の方
✅ 動悸や脈の乱れを感じる方
このような方は、定期的に脈をチェックし、異常を感じたら早めに医師の診察を受けることをおすすめします。当クリニックでも心電図だけでなく、アップルウォッチや携帯型心電計を利用した診断が可能ですので、お気軽にご相談ください。