
初期のがんは「ほとんど無症状」です
大腸がんや胃がんは、早い段階では症状が出ないことが多く、気づかないうちに進行してしまうケースが少なくありません。
何か不調を感じるころには、すでに進行している可能性もあります。
例えば、初期に見られることがある症状としては、大腸がんでは便の形が細くなる、少量の血便、下痢や便秘の繰り返し、胃がんでは胃もたれや軽い吐き気、食欲不振などが挙げられますが、どれも日常生活でよくある体調不良と区別がつきにくいため、見逃されやすいのが現実です。
実際に「無症状」でがんや異常が見つかっている
ドイツで行われた胃カメラによるスクリーニング研究では、症状のない人52人に検査を行った結果、21人に逆流性食道炎、4人にバレット食道(食道がんのリスク)、2人に十二指腸腺腫(がん化の可能性)が見つかっています。さらに12人にピロリ菌感染(胃がんのリスク)も確認されました
(Ebigbo et al., 2019)。
この研究の参加者は、症状がまったくない状態で検査を受けた人たちです。
大腸カメラでがんを「防ぐ」ことができる
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は、がんを早期に見つけるだけでなく、がんのもとになるポリープを発見し、その場で切除することができます。これは「予防」として非常に効果的です。
日本を含む多くの国での研究により、ポリープを切除することでその後10年間の大腸がんの発症リスクを76〜90%下げられることが確認されています
(Berr et al., 2014)。
また、ギリシャで行われた研究では、無症状の人でも約30%にがんのもととなる腺腫が見つかっており、50歳未満の若い層にもこの傾向が見られました
(Panteris et al., 2019)。
なぜ症状がなくても検査が大切なのか
がんは「静かに進む病気」であり、症状が出たときにはすでに進行していることが多くあります。
胃カメラや大腸カメラは、がんを早期に発見するだけでなく、がんになる前の段階で対処できる唯一の方法です。
症状がない今こそ、自分の健康状態をチェックするチャンスです。
「何もないこと」を確認することが、将来の自分を守ることにつながります。
まとめ
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初期の大腸がん・胃がんはほとんど症状がありません
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無症状でもある程度高い割合で前がん病変や早期がんが見つかることがわかっています
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内視鏡検査(胃カメラ・大腸カメラ)は、がんの早期発見と予防に非常に効果的です
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40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的な検査をおすすめします