
ドケルバン腱鞘炎とは?
ドケルバン腱鞘炎(De Quervain’s Tenosynovitis)は、親指の使い過ぎによって手首の腱と腱鞘が炎症を起こし、痛みを引き起こす疾患です。スイスの外科医フリッツ・ド・ケルバンによって報告されたため、この名称が付けられました。
手首の親指側にある「長母指外転筋腱(APL)」と「短母指伸筋腱(EPB)」が、狭くなった腱鞘内を通る際に擦れ、炎症を起こすことで発症します。特に、親指を頻繁に使う動作が多い人や、スマートフォンやパソコンを長時間使用する人に発症しやすいとされています。
症状
- 親指の付け根や手首の痛み
・親指を動かしたときに、手首の親指側が痛む。 ・特に握る、持ち上げる、ねじる動作で痛みが強くなる。 - 腫れや熱感
・痛みを伴う部位が腫れたり、熱を持つことがある。 ・腱鞘が厚くなり、触ると違和感を覚えることも。 - 親指の動かしづらさ
・親指を開いたり、動かしたりする際に引っかかる感じがある。 ・症状が進行すると、親指の可動域が制限される。 - フィンケルシュタインテスト陽性
・親指を握り込み、手首を小指側に倒す(フィンケルシュタインテスト)と痛みが強くなる。
ドケルバン腱鞘炎と発症しやすい人
ドケルバン腱鞘炎は、特定のライフスタイルや身体的特徴を持つ人に多く見られる傾向があります。
- 30〜50代の女性に多い
ホルモンバランスの影響や関節の構造上、女性の方が発症しやすいとされています。 - 育児をしている人に多い
赤ちゃんを頻繁に抱っこする際、親指と手首に負担がかかりやすいため、発症リスクが高まります。特に、- 赤ちゃんを長時間抱っこする
- 授乳時に手首を支える動作を繰り返す
- オムツ替えやお風呂などで手首を酷使する
などの動作が影響します。
- 手を酷使する職業や趣味を持つ人
長時間のパソコン作業、楽器演奏、美容師、調理師など、手首を繰り返し使う仕事や趣味を持つ人も発症しやすいです。
治療
1. 保存療法(手術をしない治療)
- 安静とサポート
痛みが出る動作を避け、親指や手首を固定する装具(サポーターやスプリント)を使用。 - 薬物療法
炎症を抑えるために、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)を服用。 - アイシングと温熱療法
痛みが強いときは冷やし、慢性化している場合は温めることで血流を改善。 - ストレッチやリハビリ
症状が軽減したら、手首や親指のストレッチ、筋力トレーニングを行い再発を防ぐ。
2. 注射治療
- ステロイド注射
痛みが強い場合、ステロイドと局所麻酔を腱鞘内に注射。即効性があり、1回の注射で症状が軽減することも。ただし、複数回の注射は腱を弱らせる可能性がある。
3. 手術療法
- 保存療法で改善しない場合、腱鞘を開放する手術を行う。
- 小さな切開で行われ、通常は日帰り手術が可能。
- 手術後はリハビリを行い、親指の動きを回復させる。
まとめ
ドケルバン腱鞘炎は、親指を使いすぎることで発症する炎症性疾患です。特にスマホやパソコン作業が多い現代では、誰もが発症する可能性があります。
また、30〜50代の女性に多く、育児や手を酷使する仕事・趣味を持つ人が発症しやすいとされています。赤ちゃんの抱っこや授乳、長時間のパソコン作業など、日常の何気ない動作が積み重なることで痛みを引き起こします。
親指や手首に痛みを感じたら、無理をせず、安静を心がけることが大切です。初期の段階では、安静やサポート、薬物療法などで改善が見込めますが、症状が進行するとステロイド注射や手術が必要になることもあります。早めの対応を心がけましょう。
予防として、長時間のスマホ・パソコン作業の合間にストレッチを行い、手首に負担をかけすぎないことが大切です。特に育児や仕事で手を酷使する方は、手首を労わる工夫を取り入れながら、快適な手の動きを維持しましょう。