
高温多湿な日本の夏は、体に大きな負担をかけます。ここ数年の酷暑化はさらに体への負担を増していると言えるでしょう。
主に夏の期間に、「なんとなくだるい」「食欲が落ちる」「眠れない」といった症状が続く状態を夏バテと呼びます。
正式な医学用語ではありませんが、毎年夏のはじめにこのような体調不良に悩まされている人も多いのではないでしょうか。
放置すれば体がつらいだけではなく、熱中症や栄養失調に移行するリスクもあるため、適切な対策が必要です。
夏バテの原因は?
夏バテは、初夏に急に気温・湿度が上昇し、その環境変化に自律神経の調整が追いつかないことが原因と考えられています。
自律神経は体温調整や血圧、胃腸機能のコントロールなど体のさまざまな機能に関わっているので、「たちくらみがする」「だるい」「食欲が出ない」といったさまざまな症状としてあらわれてきます。
梅雨の時期は気圧の変化により自律神経が影響を受けやすく、それが体調不良や頭痛、めまいなどにつながることもあります。
夏バテの多くは夏が進み、体が暑い環境に慣れると自然に消えていきます。そのため、夏の初めに暑い環境にいち早く慣れておくことが、夏バテの予防につながるといえます。
暑熱順化(しょねつじゅんか)で体を慣らそう
暑さに強い体をつくるには「暑熱順化」がカギです。
暑熱順化とは、汗をかきやすくしたり、体温を調整しやすくしたりするなど、暑い環境に体が順応することを言います。
暑熱順化は元来人間に備わっている機能ではありますが、これを本格的に暑くなる時期より前からはじめることで、暑くなっても夏バテしにくい体をつくることができます。
暑熱順化におすすめの方法を以下にご紹介いたします。
① 朝夕の軽い運動(ウォーキングやストレッチ)
- 目安:1日15~30分程度
- 気温の高すぎない朝か夕方に行う
- 通勤時に一駅分歩くのも◎
- 汗ばむ程度が目安(激しい運動は不要)
② 湯船につかる(入浴)
- 目安:38~40℃のお湯に10~15分程度
- 暑い日でもシャワーだけで済ませず、しっかり湯船に浸かるのがポイントです
③ 家事や掃除で体を動かす
- 窓ふき、床掃除などを軽い運動の代わりに
- エアコンをつけすぎず、少し汗をかく環境で行うのがポイント
- ただし、暑熱環境での長時間の作業は熱中症のリスクがあるので注意!
④ 屋外での作業は少しずつ
- 日中の屋外活動は最初は短時間から
- 外に出る用事を意識的に作りましょう
- 帽子・日傘・こまめな水分補給を忘れずに
⑤ サウナや岩盤浴の利用
- もし近くにあれば、サウナや岩盤浴の利用もおすすめ
- しっかり汗をかいたあとは、ぬるめのシャワーを浴びて火照りをしずめましょう
血圧との関係にも注意
夏は冬に比べて血圧が平均して8〜10mmHg下がると言われています。
降圧薬を服用中の方や、もともと低血圧気味の人は、血圧が下がりすぎて立ちくらみやふらつきが起きやすくなります。
水分摂取が足りないと、この傾向はさらに強まります。
朝晩の血圧測定に加えて、立ちくらみがするときや倦怠感が強いときには血圧を測定してみてください。
降圧薬を服用中の方で、血圧が下がりすぎてしまっているときは、医師に相談し薬の量を調節してもらいましょう。
低血圧気味の方は、ふだんよりも意識して水分を多く摂るように心がけてください。この際、塩分の入っていない水分は体に残らないので、スポーツ飲料などナトリウムの含まれた水分を摂るようにしてください。
最後に
上記を心がけて生活していても改善がみられないときはクリニックで相談しましょう。
夏バテに効果的な漢方薬もあります。
夏バテは予防が大切。早めの暑熱順化を心がけ、暑い夏を元気に乗り切りましょう!