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長引く咳、気管支喘息には「FeNO検査」|横浜市青葉区にある内科、小児科、家庭医療-ファミリークリニックあざみ野

長引く咳、気管支喘息には「FeNO検査」

「咳がなかなか治らない」「夜や明け方になると咳が出る」「風邪をひくといつも咳だけ長引く」…。

こうした症状があるとき、気管支喘息や咳喘息が隠れていることがあります。
役立つ検査のひとつが、呼気中一酸化窒素濃度(FeNO:フェノ)検査です¹⁾²⁾。

 

FeNOは「気管支の炎症」を数値で見る検査

FeNO検査は、大きく息を吸ったあと、専用の機械に向かって一定の速さでゆっくり息を吐くだけの検査です。
痛みはなく、短時間で測定できます³⁾。
(もちろん、ファミリークリニックあざみ野でも検査可能です)

喘息の患者さんの気管支では、「タイプ2炎症」と呼ばれるアレルギー性の炎症が起こっています。
タイプ2炎症が起こると、気道の上皮細胞から一酸化窒素(NO)が多く作られるようになります¹⁾²⁾。
そのため、呼気に含まれるNOを測ることで、気管支にタイプ2炎症がどの程度存在するかを推測できます¹⁾²⁾。

FeNOは「気管支で炎症が起きているかどうか」を見る検査と考えるとわかりやすいでしょう⁶⁾⁷⁾。

 

数値が高いほど喘息の可能性が高くなる

日本人の非喫煙成人では、FeNOの平均値は15 ppb程度とされています³⁾。
喘息が疑われる未治療の成人では、ひとつの目安として次のように考えます³⁾⁴⁾。

FeNO おおよその考え方
22 ppb未満 タイプ2炎症は積極的には疑われない
22~35 ppb タイプ2炎症の可能性があり、症状や他の検査と合わせて判断
35 ppb以上 タイプ2炎症を強く疑い、喘息の可能性が高くなる

 

慢性的な咳を訴える患者さんでは、咳喘息を含む咳優位型喘息を鑑別する目安として29 ppbという値も報告されています³⁾。

ただし、FeNOはあくまで診断を助ける検査です。
「FeNOが○○以上なら喘息」と数値だけで断定するものではありません

 

「どの薬が効きそうか」がわかる

FeNOのもう一つの特徴は、喘息の診断だけでなく、治療への反応を予測する手がかりにもなることです⁶⁾⁷⁾。

タイプ2炎症には一般的にステロイドが良く効きます。
FeNOが高い患者さんでは、気道にタイプ2炎症が強く起こっており、吸入ステロイド薬(ICS)が効きやすい傾向があります³⁾⁷⁾。

また、FeNOはステロイド治療を続けることによってによって比較的速やかに低下します。
そのため、治療をしているにもかかわらずFeNOが高い状態が続く場合には、

  • 吸入薬をきちんと使用できているか
  • 吸入方法が正しいか
  • ステロイド治療を強化すべきか

を確認するきっかけにもなります²⁾⁸⁾。

 

「FeNOが高い=喘息」ではない

FeNOは非常に便利な検査ですが、この数値だけで喘息と断定することはできません³⁾⁷⁾。

たとえば、

  • アレルギー性鼻炎
  • 好酸球性副鼻腔炎
  • 気道の感染症
  • 硝酸塩を多く含む食品(ほうれん草、レタス、ビートなど)の摂取

などによってもFeNOが高くなることがあります¹⁾³⁾。

反対に、喫煙や全身ステロイドの使用などによってFeNOが低くなることがあります¹⁾³⁾。

大切なのは、FeNOの数字だけを見るのではなく、症状の経過や診察所見などと組み合わせて判断することです。

 

「咳が続くけれど、原因がよくわからない」ときはFeNO検査を

「風邪のあと、咳だけ何週間も残る」
「夜中や明け方に咳が出る」
「季節の変わり目になると咳が出る」
「運動すると咳や息苦しさが出る」
「毎年同じような咳を繰り返している」

という方は、単なる「長引く風邪」ではなく、気管支喘息や咳喘息が隠れていることがあります。

咳がなかなか治らないときには、咳止めを繰り返すだけではなく、「気管支に炎症が残っていないか」という視点から調べてみることも大切です。

 


参考文献

  1. Kuo CR, et al. Understanding the Cellular Sources of the Fractional Exhaled Nitric Oxide (FeNO) and Its Role as a Biomarker of Type 2 Inflammation in Asthma. Biomed Res Int. 2022;2022:5753524.
  2. Fractional Exhaled Nitric Oxide (FeNO) as a Biomarker of Lower Airway Eosinophilic Inflammation: Benefits and Limitations. J Inflamm Res. 2026.
  3. 増永愛子. 「気管支喘息診療における呼気中一酸化窒素濃度(FeNO)検査の使い方」HOKUTO 気管支喘息特集.
  4. 日本呼吸器学会肺生理専門委員会. 『タイプ2炎症バイオマーカーの手引き』2023.
  5. Couillard S, et al. Inflammatory and clinical risk factors for asthma attacks (ORACLE2): a patient-level meta-analysis of control groups of 22 randomised trials. Lancet Respir Med. 2025.
  6. Busse WW, et al. Using Fractional Exhaled Nitric Oxide Measurement in Clinical Asthma Management. Chest. 2022;161(4):906-917.
  7. Dweik RA, et al. An Official ATS Clinical Practice Guideline: Interpretation of Exhaled Nitric Oxide Levels (FeNO) for Clinical Applications. Am J Respir Crit Care Med. 2011;184(5):602-615.
  8. Heaney LG, et al. Fractional exhaled nitric oxide and asthma treatment adherence. Curr Opin Allergy Clin Immunol. 2021;21(1):59-64.
  9. American College of Chest Physicians. Biologic Management in Severe Asthma for Adults: An American College of Chest Physicians Clinical Practice Guideline. Chest. 2026.
  10. Efficacy and Safety of Biologics for Oral Corticosteroid-Dependent Asthma: A Systematic Review and Network Meta-Analysis. J Allergy Clin Immunol Pract. 2024.