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子どもの近視と予防策〜近視進行抑制点眼薬とは|横浜市青葉区にある内科、小児科、家庭医療-ファミリークリニックあざみ野

子どもの近視と予防策〜近視進行抑制点眼薬とは

なぜ子どもに近視が増えているのか

近年、世界的に近視が増加しているといわれています。その中でも日本は非常に近視率の高い国です。東京都の小・中学生を対象とした調査では、小学生の76.5%、中学生の94.9%が近視であるという結果が出ています。子どもの近視率は過去20〜30年間で急増しており、特に2010年代以降の上昇が顕著です。これは遺伝的影響だけでは説明がつかず、「室内でのデジタル機器使用増加」「屋外活動の減少」が原因と考えられています。

近視は7〜8歳で急激に進行し、10代後半には安定するといわれています。低年齢で発症した場合は、より強度な近視に進行するリスクがあります。
近視の多くは「軸性近視」と呼ばれ、これは眼球が前後に伸びてしまうことによってピントが合わなくなってしまう状態です。子どもの目は成長に伴って眼軸(目の奥行き)が伸び、特に7〜8歳から12歳ごろまでは、体の成長とともに眼球も大きくなりやすいのです。この時期に「近くを見る作業」が多いとより眼軸が伸びやすくなり、近視が進行してしまいます。

また、視力検査で要受診と診断されたにもかかわらず、およそ6割の児童・生徒が未受診だとされています。視力検査で異常を指摘されたら、必ず一度は眼科を受診し、できれば数ヶ月に一度の定期的な観察を続けることが望ましいです。

 

近視を防ぐための基本ルール

(1) 屋外で過ごす時間を増やす

  • 日光にあたる外遊びが少ない子どもは近視にかかりやすく、屋外活動が予防に極めて有効です。

(2) 読書やデバイスの使用時はルールを守る

  • 読書・書き物は最低でも30cm離し、300ルクス以上の適切な明るさを保つことが望ましいです。
    ※300ルクスは、家庭のLEDシーリングライト(6〜8畳用)を点けたときの机の上の明るさに近いです。「読書できるけど、ちょっと暗いかも」くらいの明るさです。
  • スマホやタブレットなどでは「20‑20‑20ルール」が推奨され、具体的には「20分使ったら20秒間、6m(20フィート)先を見る」やり方が効果的です。

(3) メガネ・コンタクトの使い方

  • 視力が0.7以下で黒板の文字が見えづらくなったら、眼科での調節麻痺点眼による診断を経て、必要なら適切な度数のメガネをかける流れになります。
  • コンタクトレンズは、小学生では角膜に傷がつきやすいリスクがあるため、基本的にはメガネ使用が推奨されます 。

日本初の近視進行抑制点眼薬について

欧米で以前より使用されていた近視進行抑制点眼薬、アトロピン(商品名:リジュセア)が、日本でも2025年4月から発売開始となりました。臨床試験では、2年間で近視の進行を年間30%抑制する効果が確認され、安全性も良好とされています。ただし、使用を中止すると近視は急激に進行する可能性があるため、近視の進行が安定化する10代後半まで使用を継続することが望ましいです。

リジュセアは日本では自由診療扱いで保険非適用のため、薬剤費や診察料は全額自己負担となります。

眼科で定期的な検査を行いながら投薬を継続することが理想的ですが、通院困難などで薬を切らしてしまいそうなときは、当院でもご用意ができますのでご相談ください。