
2024年より、鼻にスプレーするタイプのインフルエンザワクチン「フルミスト」が発売され、使用が可能となっています。
注射ではなく点鼻で行うため痛みがなく、特にお子さまに使いやすいのが特徴です。
フルミストの仕組みと効果
フルミストは弱毒化された生ワクチンで、鼻の粘膜に免疫をつくることで感染そのものを防ぐ力が高いとされています。
さらに血液中にも免疫を誘導するため、万一感染しても重症化を防ぐ効果が期待できます。
欧米ではすでに長年使われており、安全性・有効性が確認されています。
皮下注射ワクチンの効果はおよそ5か月ですが、フルミストは約1年持続するとされ、予防効果は特に小児で高いといわれています。
接種対象と回数
対象は2歳から18歳までで、年齢に関係なく年1回の接種です。
1回で十分な免疫が得られるとされており、年齢が低くても注射タイプのように2回接種する必要はありません。
海外では49歳までの成人にも接種が行われていますが、日本では今のところ18歳までが対象となっています。
接種できない方
- 重い喘息がある方や最近発作を起こした方
- 卵で過去にアナフィラキシーを起こしたことがある方
- 妊娠中
副反応(風邪様症状、発熱)
接種から1週間後くらいに、30〜40%の方に鼻水、くしゃみ、咳などの風邪症状がみられます。
これはフルミストが「生ワクチン」のため、軽くインフルエンザに感染したような状態が起こるためです。
特に年齢の低いお子さんで起こりやすく、数%の方では発熱することもあります。
注射型ワクチンとの比較
| 項目 | フルミスト | 注射型ワクチン |
| 効果の広さ | 幅広いウイルスに対応しやすい (流行株が違っても軽症化効果が期待できる) |
株が合えば高い効果 |
| 効果 | 小児での肺炎・中耳炎予防に高い効果(最大95%) 効果の持続は約1年 |
高齢者や持病のある方で入院や死亡を防ぐ効果(最大50%以上) 効果の持続は約5ヶ月 |
| 副反応 | 鼻水、くしゃみなどの風邪様症状(頻度多め) | 注射部位の腫れ、発熱(頻度低い) |
| 使用できる人 | 健康な2〜18歳、喘息や免疫力が弱い人は使用不可 | ほぼ全年齢・持病ありでも使用可 |
| 接種のしやすさ | 注射が苦手な小児に人気、痛くない | 痛みを伴う |


