
最近、「オゼンピック」「ウゴービ」「マンジャロ」といったGLP-1受容体作動薬が、体重管理の薬として注目されています。
「胃の動きを抑えるから痩せる」と思われがちですが、実際には体重が減る仕組みはそれだけではなく、食欲・脳・消化管など複数の仕組みが組み合わさって起こることが、最近わかってきています。
胃の動きをゆっくりにして満腹感を持続
GLP-1作動薬には、胃から食物が排出される速度をゆっくりにする作用があります。
これにより、
- 食後の満腹感が長く続く
- 食べ過ぎを防ぐ
- 食後血糖の急上昇を抑える
といった効果があり、糖尿病の血糖コントロールを改善したり、体重を減少させると言われています。
しかし、長期使用で胃の作用に慣れが生じても体重減少が続くことから、減量効果のすべてを胃の働きだけでは説明できないと考えられています。
食欲をコントロールする脳への作用
特に興味深いのは、GLP-1作動薬による脳の食欲調節に関わる部分への働きです。
GLP-1作動薬が投与されると、脳の食欲を制御する領域に作用し、
- 食べたいという欲求が自然に減る
- 高脂肪食や過食への欲求が減る
といった変化が起こると言われています。
つまり、食事量を減らすにあたり「我慢する」のではなく、自然と「太るものを食べる気が起きない」状態にさせるのです。
その結果、自然と食事量が減り、総エネルギー摂取量が低下します。
人間の三大欲求の一つを、脳に作用することにより直接抑えてしまうわけで、GLP-1作動薬は脳に作用する薬ということもできるのです。
減るのは脂肪か、筋肉か
GLP-1作動薬による体重減少は、主に体脂肪の減少によるものと考えられています。
一方で、体重が減る際には脂肪だけでなく、筋肉量(除脂肪体重)も減少する可能性が指摘されています。
研究によって差はありますが、総体重減少量のおよそ半分が脂肪以外の体重の減少だった、という報告もあります。
高齢者や、加齢や疾患によって骨格筋量と筋力が著しく減少する「サルコペニア」のリスクがある方では特に注意が必要です。
筋肉を守るために大切なこと
GLP-1作動薬を安全に使用するためには、体重だけでなく、体組成(身体の筋肉や脂肪のバランス)を意識することが重要です。
GLP-1作動薬を用いる際には、「筋肉を維持しながら減量する」という視点が必要であり、ふだんより更に筋肉量を維持する努力を並行して行うことが望ましいです。
そのためには、「良質なタンパク質の摂取」「年齢、体調に合わせた筋力トレーニングの継続」が必要です。
当院では、糖尿病の方にGLP-1作動薬を処方することがあるほか、糖尿病ではないが肥満があり、合併症のある、もしくは将来的なリスクのある方に対して、自由診療による処方を行っております。
詳しく知りたい方は、診察の際や、受診の際、スタッフにお気軽におたずねください。


