
腸管洗浄液(下剤)の目的は?
大腸検査前の下剤は、大腸内をきれいにすることでポリープなどの病変をしっかり確認できるようにするために飲みます。
大量の液体を2時間かけて服用するので、大変なことであるのは間違いありません。
そのため、飲みやすさも大事ですが、しっかりと細かい病変も見逃さずに検査を受けるため、下剤の「洗浄力」も重視する必要があります。
ファミリークリニックあざみ野では少しでも安心して検査を受けていただけるよう、下剤の種類を増やすことで検査を受ける方のニーズに応えられる体制づくりを目指しております。
以下に主な下剤の種類をご紹介いたします。
名称 | 飲む量 | 味の特徴 | 洗浄力 |
モビプレップ | 約1.5L | 梅ジュース・スポーツドリンク味 | ◎ 強力 |
ニフレック | 約2L | レモン・薄い塩味 | ◎ 強力 |
マグコロールP | 約1.8L | スポーツドリンク味 | ○ やや弱め |
ピコプレップ | 150mL×2回 + 水2L | 甘酸っぱいオレンジ味 | ○ やや弱め |
ビジクリア(錠剤) | 錠剤50錠 + 水1.5〜2L | 味なし | ○ |
主な下剤の種類
モビプレップ
多くの施設で使用されている下剤の「定番」です。少し独特の味がしますが洗浄力が高く、安定感のある下剤です。味は「梅ジュース」や「塩っぽいスポーツドリンク」と表現されます。
水に溶かした2Lの下剤を1.5Lほど飲むと洗浄が完了することが多いです(それ以上必要な場合もあります)。
洗浄力が強いため、比較的早い時間で腸内洗浄が完了できます。
脱水になりやすいため、水分摂取は十分に行う必要があります。
ニフレック
歴史のある下剤です。モビプレップ同様、水に溶かして作りますが、2Lの服用が必要です。味もモビプレップと比較すると劣ります。
ただし、腎臓の機能が弱い方でも安心して服用でき、飲み方もシンプルなため、高齢の方にお勧めさせていただくことが多い下剤です。
マグコロールP
水に溶かして飲んでいただく下剤です。スポーツドリンクのような味で、下剤の中では飲みやすい味とされています。
モビプレップに比べると若干洗浄力が落ちるため、飲む量が多くなってしまうことがあります。
ピコプレップ
味が良く、服用量が少ない(300ml)ことが特徴です。ただし、300mlの下剤以外に透明な飲み物を2L程度飲む必要があります。透明な飲み物はリンゴジュースやコンソメスープでもOKです。
一番の弱点は洗浄力が弱い点です。ピコプレップのみによる洗浄では、2回に1回の割合で「洗浄不良」になると言われています。数日前から繊維の少ない検査食にしてもらったり、事前にピコプレップ以外の下剤を飲むなどの追加での工夫が必要です。
ビジクリア
唯一の「錠剤」タイプの下剤です。50錠のビジクリアと水2Lを服用してもらいます。どうしても下剤の味が苦手で飲めない方が使用することがあります。
デメリットとしては、錠剤が大きく飲み込みにくく、腎臓の機能が弱い方は服用できないため、高齢の方にはお勧めできません。
苦痛を減らす飲み方のコツ
- 冷やして飲む
→ 冷たいと味が和らぎ、においも気になりにくくなります - ストローを使う
→ 舌に味が触れにくく、飲みやすくなります - 好きな飲み物で後味をリセット
→ 濃くないお茶、スポーツドリンク、飴などで口直し(※許可がある場合のみ) - 少しずつ休みながら飲む
→ 一気に飲まず、数分ごとにこまめに飲む - 前日は消化のよい食事を心がける
→ うどん、おかゆ、豆腐などにすると洗浄しやすくなります(洗浄完了までの時間が早まる)
注意点
- 指示された量をしっかり飲みきることがとても重要です。十分に洗浄できないと小さな病変の発見が困難となったり、検査が正確に行えないことがあります。
- 指示されたスピードを守り、一気に飲みすぎないようにしてください。下剤を一気に飲むと腹痛や洗浄不良の原因となることがあります。
- 脱水や消化管蠕動の影響でめまい、立ちくらみ、腹痛、嘔気などが出ることがあります。対処法をお伝えしますので、我慢せずクリニックにご連絡ください。
- 持病や年齢、服薬の状況によって下剤の種類が限られる場合があります。
- 下剤を飲む日は予定を入れず余裕のあるスケジュールにしておくことも大事です。時間がなく焦って下剤を飲むと洗浄が不十分になってしまうことがあります。
最後に
下剤を飲むのは大変ですが、大腸カメラはがんやポリープを早期発見する唯一の方法です。
少しでも楽に検査を受けていただけるよう、我々もサポートしますので、不安なことは遠慮なくご相談ください!