
40歳以上の日本人を対象にした研究では、「太りすぎても痩せすぎても、どちらも死亡リスクが高くなる」ことがわかっています。これは、BMI(体格指数)が高すぎても低すぎても、健康に悪影響を与えるという意味です。
これをグラフにすると「U」の字のようになるので、「Uカーブ」と呼ばれています(横軸がBMIです)。
太りすぎだけでなく、痩せすぎでも死亡リスクが高まることがよくわかります。
参照:J Epidemiol 2011; 21: 417-430
「太っている」人ばかりが注目されていませんか?
最近では、太りすぎ(肥満)に対する対策が進んでいます。
たとえば、
- メタボ健診(特定健康診査)
- 肥満症の薬
などがその一例です。
一方で、痩せすぎや栄養不足の人への関心はまだ低いのが現状です。
高齢者では少しずつ注目され始めましたが、若い人たちへの認識はまだ足りていません。
痩せすぎている若い女性では、以下のような体のトラブルが起こりやすくなります:
- 月経が不規則になる
- 妊娠しづらくなる(妊孕性の低下)
- 赤ちゃんの健康リスクが高まる
- 骨がもろくなる(骨量減少)
- 貧血になりやすい など
これらはすべて低体重・低栄養が背景にあると考えられています。
低体重による症候群「FUS」とは?
日本肥満学会は、「FUS(女性の低体重による症候群)」という新しい概念を提唱しています。
これは、「痩せすぎや栄養不足が原因で、いろいろな体の不調出てくる状態」のことです。
たとえば、月経の乱れや骨密度の低下だけでなく、気分の落ち込みや倦怠感、頭痛、冷え性、肌質の低下などは、一見バラバラな症状に見えても、実は「痩せすぎ・栄養不足」が共通の原因になっていることがあるという考え方です。
これらは氷山の一角であり、それぞれバラバラに対処するよりも、「栄養不足・低体重」という根本原因に取り組むことで、一気に改善できる可能性があります。
まとめ
- 太っていることだけでなく、痩せすぎ・栄養不足も深刻な健康リスク
- 特に若い女性の体調不良が痩せすぎ・栄養不足からくるサインであることも
- 体型だけでなく、体の中の状態や生活習慣にも目を向けることが大切です