
汗疱とは、手のひらや足の裏、指の側面にできる小さな水ぶくれや赤い湿疹、皮むけなどが特徴の皮膚疾患です。
水疱ができる際に非常に強いかゆみを伴うことも特徴の一つです。
異汗性湿疹とも呼ばれ、春から夏の汗ばむ時期にかけて悪化しやすく、かきこわすと痛みやジュクジュク感が出ることもあります。
20〜40代の女性に比較的多く見られますが、年齢・性別に関係なく誰にでも起こりえます。
特に手をよく洗う人、汗をかきやすい人、ストレスが多い人、金属に触れる仕事の人に多く見られます。
また、アトピー性皮膚炎やアレルギー体質を持つ人では繰り返す傾向もあります。
原因ははっきりわかっていません
原因ははっきりわかっていませんが、汗の排出異常、ストレス、アレルギー(金属など)が関与すると考えられています。
特に金属アレルギー(ニッケル・コバルト・クロムなど)は汗疱の発症や悪化に深く関係していると言われています。手のひらは体の中でも特に汗器官(汗を出す組織)が多く、汗の中の金属濃度が高い場所です。そのため、金属アレルギーの部分的な症状として、手のひらで汗疱が多発することと関連があると考えられています。
診断について
診察では、手や足の水ぶくれや湿疹の様子を観察します。
金属アレルギーが疑われる場合は、パッチテスト(皮膚にアレルゲンを貼って反応を見る検査)を行うため、専門の医療機関をご紹介することもあります。
必要に応じて、他の病気(手湿疹、白癬、掌蹠膿疱症など)との鑑別も行います。
汗疱の治療
治療の基本は、ステロイド外用薬による炎症のコントロールです。
かゆみが強い場合は、抗ヒスタミン薬の内服を併用することもあります。
原因として金属アレルギーが判明した場合は、金属を避ける生活指導(歯科金属や食事など)も行われます。
また、日常生活において以下の点に気をつけることも大切です。
- 手に対する刺激を避ける。
- 汗をかく季節に金属製品を素肌に長時間つけることを避ける。
- 金属が多く含まれるチョコレート、豆類、香辛料、貝類、レバー、胚芽、玄米の摂取はなるべく控える。
- 水仕事や手洗いの際はゴム手袋や綿手袋を併用し、過度な石けん使用を避ける。
- 汗をこまめにふき取り、保湿剤で皮膚のバリア機能を保つ。