
ニキビについて
ニキビは医学的には尋常性痤瘡(ざそう)と呼ばれます。思春期になるとホルモンのバランスが変わるため、皮脂の分泌が増えます。これにより皮脂と角質が混ざり合って毛穴を詰まらせることがあります。この詰まった毛穴内でアクネ菌と呼ばれる皮膚常在菌が増殖すると、炎症を引き起こして赤みや腫れをもたらします。これが一般にニキビと呼ばれているものです。
ニキビの種類
ニキビには「白いニキビ」と「赤いニキビ」があります。白いニキビは毛穴に皮脂が詰まった状態、赤いニキビはそこにアクネ菌が繁殖し炎症をもたらした状態です。
ニキビの治療法
ニキビには様々な治療法がありますが、なにより大切なのは日々のスキンケアです。洗顔を適切に行い、皮脂や古い角質を取り除くことが重要です。しかし、洗顔が過剰すぎても皮膚が乾燥し、逆に皮脂の分泌を促してしまうため、適度な回数とていねいさが必要です。冬場は保湿も大事です。
洗顔、スキンケアをしっかりしていてもニキビが改善しない場合は、塗り薬を使用します。塗り薬には大きく分けて「皮脂腺のつまりを改善させる薬」と「アクネ菌を減らす薬」があります。
また、赤いニキビに対しては内服薬を用いることもあります。ビタミン剤が処方されることもありますが、ビタミン剤の効果はエビデンスがはっきりしていません。
外用薬の種類
ディフェリン: ディフェリンはビタミンA誘導体(レチノイド)を含むジェルで、白いニキビ改善に特に効果の高い塗り薬です。男性ホルモンの影響で厚くなった毛穴の皮ふを薄くして、毛穴を広げる作用があります。毛穴に脂の抜け道を作ることで、毛穴につまった脂を外に出すことができます。最初の数週間は皮膚が乾燥したり薄くはがれたりすることがありますが、これは薬の働きによるものです。持続的に使用することで肌の新陳代謝がうながされ、白いニキビの改善が見られます。
ベピオ: ベピオもディフェリン同様、皮脂腺のつまりを改善させる効果を有しますが、同時に強い酸化作用をもち、アクネ菌に対しても殺菌的に働きます。つまり、白いニキビだけでなく、赤いニキビに対しても効果を発揮します。ただし、白いニキビに対しての効果はディフェリンより弱いと言われています。また強い酸化作用をもつため、まれに使用部位にかぶれを生じる場合があり、その際には使用を中止しなければなりません。
ダラシンゲル: ダラシンゲルはクリンダマイシンという抗生物質を含むジェルで、アクネ菌の増殖を抑えることで赤いニキビを改善します。
ディフェリンとベピオは使用開始2週間前後に皮膚が赤くなったり、ヒリヒリしたりすることがあります。これは皮膚が新陳代謝を起こしているためです。また3ヶ月程度は継続しないとはっきりとした効果がみられないことも多いです。ヒリヒリなどの副作用がどうしても我慢できないときはクリニックでご相談ください。また、妊娠の可能性がある場合、ディフェリンは使用することができません。
まとめ
ニキビは命に関わる病気ではありませんが、その人にとっては自己肯定感や自己イメージの低下をもたらすやっかいな病気でもあります。スキンケアにつとめることと、必要なときは受診し適切な治療を受けるようにしましょう。