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睡眠時無呼吸症候群(SAS)|横浜市青葉区にある内科、小児科、家庭医療-ファミリークリニックあざみ野

睡眠時無呼吸症候群(SAS)

睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?

眠っている間に呼吸が何度も止まる病気です。多くは「いびき」とともに起き、1時間あたり5回以上の呼吸停止があればSASの可能性が高まります。1回に数分間にわたり呼吸が停止することもまれではありません。重症になると、1時間に30回以上呼吸が止まることもあります。

睡眠中の血中酸素飽和度を測定すると、無呼吸発作時には多くの人が90%を切ってしまっています。重症の方では70%台まで落ち込んでいることもあります。体内がひどい酸欠状態になっているわけですが、睡眠中のために気づかないのです。

SASでは、本来からだを休めるべき睡眠中に低酸素状態が続くので、からだの色々なところにダメージをもたらすと言われています。SASは「日中に眠気をきたす病気」として有名ですが、SASが本当に恐ろしいのは、心血管系に大きなダメージを蓄積させてしまうことです。心筋梗塞や脳卒中などの重大な病気の原因となる点では、高血圧や糖尿病、喫煙と同等のリスクがあると考えられ、これを放置することは相当に危険なことだといえます。

 

数字でわかる、SASの危険性

  1. 高血圧のリスクが2倍以上
    ・無呼吸によって体が何度も酸素不足になると、交感神経が過剰に働き血圧が上がる
    ・SASがある人は、高血圧になるリスクが約2.3倍に上がる
    ・慢性的な寝不足となるため、夜間だけでなく日中も血圧が高くなる傾向
  2. 心筋梗塞・狭心症など冠動脈疾患のリスクも上昇
    ・酸素不足と血圧変動が心臓に強い負担をかけ、心不全や狭心症、心筋梗塞のリスクを高める
    ・中等度〜重度の無呼吸があると、心筋梗塞のリスクが20〜30%増加する
  3. 脳卒中リスクは最大3倍に
    ・動脈硬化や血栓ができやすくなり、脳卒中の可能性が高まる
    ・重症のSASでは、脳卒中リスクが2〜3倍になる
  4. 未治療の重症SASでは死亡率が3倍
    ・無呼吸が重く、治療を受けていない人は、心血管疾患による死亡率が約3倍に達する

SASがもたらす病気

高血圧、糖尿病、心筋梗塞、脳卒中、認知症、頭痛、うつ、ED(勃起不全)、突然死、交通事故

 

こんな症状があったら注意!

いびきがひどい
夜中に何度もトイレに起きる
起床時に頭痛がする
起床時に疲れを感じる
昼間の強い眠気やだるさ
本を読んでいたりするとすぐに寝落ちてしまう
朝起きたとき喉がカラカラになっている
朝の血圧が極端に高い

 

SASの診断は自宅で可能

SASを診断するための検査は自宅で受けることが可能です(保険適応)。かつては病院で一泊しないとできなかった検査が、現在は簡易化され、自宅でも施行可能となりました。

クリニックで申し込むと自宅に検査器具が届きます。器具を一晩装着し、翌日業者に送り返します。後日、クリニックで結果(睡眠中の呼吸の状態、無呼吸の頻度、酸素飽和度の推移など)をお伝えします。

 

治療の第一選択はCPAP

CPAP(持続陽圧呼吸療法)

  • 夜間就寝中にCPAPと呼ばれる機械を装着。マスクを介して陽圧の空気を送ることで気道の閉塞を防ぐ。
  • 無呼吸や低呼吸、いびきの消失、低酸素状態の改善、睡眠の質の向上が期待できる。
  • 現時点でSASに対する確固たるエビデンスのある治療はCPAPのみ
  • CPAPを使うと無呼吸は5回未満まで抑制され、血圧が平均で5〜10 mmHg下がる。
  • 心房細動や心不全の悪化を防ぐ効果もあるといわれている。

CPAP以外の治療法

1) 減量
10%の体重減少で無呼吸が約25%低下する。
特に肥満が主要因のSAS患者では、治療の第一選択。

2) マウスピース
CPAPと比較すると無呼吸回数の抑制効果は劣る。
軽症者向けで、重症例ではマウスピース単独での無呼吸抑制は困難。

3) 舌下神経刺激療法
神経に電気刺激を与えて舌の筋肉を動かし、気道閉塞を防ぐ新しい治療法。
重度のSASでCPAPの使用ができない患者に対して、無呼吸を改善させる効果が期待されている。
ただし現時点ではCPAPに匹敵する作用までは期待できず。

4) 手術
軟口蓋(喉の奥)を切除することで気道を広げる。効果は症例による。